トレーリングストップとは?
トレーリングストップとは、保有ポジションの含み益が増加するにつれて、自動的にストップロス注文を市場価格に近づけていく仕組みのことです。これにより、利益を確保しつつ、損失リスクを限定することが可能になります。
ロングポジションを保有する際にトレーリングストップを利用すると、市場価格が上昇するにつれてストップロス注文も引き上げていきます。これにより、利益を守りながら更なる利益の可能性を追求できます。一方、ショートポジションでトレーリングストップを設定する場合は、市場価格が下降するごとにストップロス注文を下げていきます。これにより、下落トレンドにおいて損失を限定しつつ、利益を最大化することが可能です。
たとえば、100.00で買いエントリーをし、ストップロス注文を99.00に設定したとします。マーケットが100.50に上昇するのに合わせて、ストップロス注文を99.50に引き上げます。マーケットが101.00まで上昇し続けた場合、ストップロス注文を100.00、この場合は建値にまで引き上げることができ、もしもマーケットが下落してきても損失を抑えることが可能となります。
トレーリングストップの利点
リスクリワードレシオの改善
損切り幅を小さくすることでリスクリワードレシオが改善できます。リスクリワードレシオが改善するほど利益を出しやすくなるため、必要な勝率は低くて済みます。
プロトレーダーはたいてい、少なくとも1以上のリスクリワードレシオを追求しているため、利益を出すために高い勝率を求めません。勝率よりもリスクリワードレシオに着目してトレードを見ているのです。損失をコントロールすること、これがFXトレードには重要です。
利益を伸ばすことが容易になる
マーケットに強いトレンドが出ている時はターゲットをどこに置こうかと悩むかもしれません。そこでトレーリングストップを用いると、利益を伸ばすことが容易となり、タイミング良く大きなトレンドを掴むことが出来れば、長時間トレンドをフォローし続けていくことができます。
ストレスの軽減
利益の出ているトレードが損失へ転じることはとても悔しいものです。苛立ちを感じているときは、悪いトレードを行いやすくし、大きな損失が出やすいものです。そこでトレーリングストップを適切に用いると、利益の出ているトレードが損失に変わることを避けることができるため、トレードにかかるストレスの度合いを軽減させることができます。
利点4
トレードチャンスが増える
多くのトレーダーは負けポジションを長く持ち過ぎます。より良いトレードチャンスを見つけることができるように、負けポジションを素早く決済することは良い考えです。
トレーリングストップを使用して負けトレードを素早く終了することにより、改めてトレードすることができるようになります。次のトレードでは成功する可能性があるため、トレードチャンスを逃がさないためにも、負けポジションは素早く手仕舞いましょう。
トレーリングストップの使い方
トレードをするときはいつも、エントリーしたらすぐに損切りを置きます。ひとたびマーケットがあなたの思惑通りの方向へ動いたなら、損切り幅を徐々に小さくしていくべきです。 トレードをする前に損切りラインをどのように移動させていくか計画しておくことをお勧めします。これによりトレードは容易に改善されます。
トレーリングストップの注文方法は プラットフォームにより異なります。MT4ではチャート上でマウスのドラッグにより簡単に損切りラインを狭めることができます。他のプラットフォームでは手動で注文を変更することが可能です。
最初に損切り幅を減らし始める利幅を決めます。たとえば50pipsの利がのっている状態から損切り幅を30pips減らします。以降10pips順行すればさらに10pips減らしていくことができます。
トレーリングストップの注意点
損切りラインを動かすのを早過ぎないようにする
- トレードする度に完璧なエントリータイミングで入ることは難しいため、 トレーリングストップを あまりにも早く用いると損失に繋がる可能性があります。 損切りラインを素早く動かしながら最小限に損失を抑えることは魅力的ですが、トレードが利益につながる時間を確保することが重要です。
- 私達は5〜10pipsを稼ごうとするデイトレードにおいて、 利益に繋げるため、通常は少なくとも1〜2分待ってからトレーリングストップを用います。大きな利幅を狙うデイトレダーやスイングトレーダーにおいては、もっと長く待つことをお勧めします。
トレーリングストップの例
以下は、トレーリングストップを適切に用いているトレーダーの例です。
トレーダーは上昇トレンドにおいて移動平均線にちょうどタッチしたとき、109.25円で買いました。最初の損切りラインは移動平均線の下に置きました。価格が上がったので損切りラインを上げましたが、依然として移動平均線がサポートとして機能するように、その下に保ちました。
市場が大きく動く可能性があると考え、利益を伸ばしたいのでターゲットは設定しませんでした。そして価格が移動平均線を下回ったとき、トレーリングストップにヒットして、トレーダーに大きな利益をもたらしました。
トレーリングストップ手動のほうがいい
MT4などの一部のプラットフォームで自動トレーリングストップを使用する事は可能ですが、私は手動トレーリングストップの使用をお勧めします。自動トレーリングストップを使用する場合、トレードが10Pipsなどの設定した額を稼ぐと、その後余分なPipsを稼ぐたびにストップは1Pipsずつ減少します。ストップを自動的に減らすために使用できる様々な設定があります。
自動トレーリングストップは、ルールに従うのをより簡単にし、マーケットを注意深く監視する必要がありません。これはスイングトレードに適しています。デイトレード時、あなたは通常マーケットを注意深く見ている為、手動トレーリングストップを使用できます。
自動トレーリングストップはサポートとレジスタンスを分析しません。その為、ストップの移動が速すぎる場合があります。ロングポジションを保有していて、ストップロスを減らしたい場合、ストップにヒットする可能性を減らすため、ストップをサポートの下に維持します。マーケットが上昇トレンドにある場合、ストップを移動平均線より低く保ちたいはずです。自動トレーリングストップの場合、ストップが移動平均線より早く移動しすぎる事があり、その結果収益性の高いポジションをあまりに早く決済してしまう事につながります。
損切りラインを動かし始めるタイミングを習得するには時間がかかりますが、練習とトレードの振り返りを通じてスキルが向上します。トレーリングストップにヒットした後に、価格が当初に設定していた利益確定ラインにまで到達したときにはイライラすることがあります。しかし長期的にみると、トレーリングストップが、あなたのトレード成績に改善をもたらすのでお勧めします。
成績を振り返ることで、自分のトレードを改善する方法を理解できます。 各週の終わりに成績を改善するため、損切りラインを違ったやり方で 変更したかどうかなどを確認する必要があります。
トレーリングストップを使用するのに完璧な方法はありませんが、上手に用いれば、メリットはコストを上回るはずです。 損失を小さく抑えれば、長期的に利益を上げるのがずっと簡単になります。